小学生のうちに読んでおきたい名作 蜘蛛の糸

Last Updated on 2024年11月4日 by toshi

芥川龍之介の「蜘蛛の糸」は、日本の文学の中でも特に有名な短編小説の一つです。

この作品は、地獄に落ちた罪人が、天上から垂れ下がる蜘蛛の糸をつかんで救いを求める物語です。

テーマとしては、善と悪、自己中心的な行動の結果などが描かれています。

今回は蜘蛛の糸のあらすじ、特徴などについて紹介していきたいと思います。

 

蜘蛛の糸とは

 

くもの糸・杜子春(新装版)-芥川龍之介短編集- (講談社青い鳥文庫)


作者は芥川竜之介で、東京生まれの小説家です。

短編小説を多く書き、代表作に鼻、羅生門、河童などがあります。

非常に優秀な文学者だったので、その名を取って芥川賞という文学賞ができました。

蜘蛛の糸は、その芥川龍之介の作品でも有名な作品の一つです。

 

蜘蛛の糸 のあらすじ(ネタバレ含みます)

蜘蛛の糸の主人公は、地獄に落ちた大泥棒のカンダタです。

天国からその様子を見ていたお釈迦様は、彼が蜘蛛を助けたことがあることを思い出し、蜘蛛の糸を地獄に垂らしてカンダタを助けようとします。

それにすがるカンダタですが、他の多くの罪人も蜘蛛の糸を登ってきてしまいます。

最後は蜘蛛の糸が切れて、カンダタは血の池に落ちてしまいます。

登場人物が、カンダタとお釈迦様の他には多くの罪人しか登場しませんので、非常に分かりやすくシンプルな構成になっています。

 

蜘蛛の糸の元ネタは?

「蜘蛛の糸」は、仏教の教えや道徳的なテーマを基にした作品です。

元ネタとしては、仏教の「業(カルマ)」の概念が挙げられます。

特に、善行と悪行の結果がどのように人間の運命に影響を与えるかという教えが反映されています。

また、物語の中で描かれる蜘蛛の糸は、希望や救いの象徴として機能していますが、同時に人間の欲望や自己中心的な行動がもたらす悲劇も示唆しています。

この作品は、芥川自身の宗教観や倫理観が色濃く反映されており、彼の文学的なスタイルやテーマの一端を理解する上でも重要な作品となっています。

 

芥川龍之介の作品の特徴

 

丁寧な文体を楽しむ

文章には、「です」「ます」「である」みたいに色々な形がありますよね。

これを文体と言います。

芥川龍之介の文章は丁寧な文体で書かれているのでぜひ気にしながら読んでみるとより面白いのではないかと思います。

作家や作品によっていろいろな文体があるので、本を読む時に注意しながら読んでみてください。

 

対比の使い方

蜘蛛の糸で意識してほしいのが、極楽と地獄という全く違う場所が描かれているということです。

極楽では、綺麗なハスの花が池 一面に咲いていて、玉のように真っ白で金色で何とも言えないようないい匂いが出ているという、朝の描写があるにあるのに対して、地獄では真っ赤な血の池で死にかけたカエルみたいに人間がもがいています。

極楽と地獄みたいに、2つのものを並べて比べることを対比と言いますが、蜘蛛の糸はその対比が非常に分かりやすい作品です。

比べることでそれぞれの違いがはっきりしてきます。

比べながら読むという意識を持つことも本を楽しむコツの一つです。

 

話をするように突っ込む

お釈迦様は、大泥棒のカンダタでも蜘蛛を殺さずに助けてあげたことがあるのを思い出して、助けてあげようとします。

そして地獄に向かって蜘蛛の糸を垂らします。

ただ、カンダタがその蜘蛛の糸を必死で登っていくのに対して、他の罪人も糸を登って来たので、カンダタは糸が切れると思って必死に騒ぎます。

すると、蜘蛛の糸が切れてしまってカンダタも地獄に落ちてしまいます。

蜘蛛の糸が切れそうで騒いだのに、逆に切れてしまうところが切ないですよね。

「ここでそんなこと言わなきゃよかったね」とか「思いやりがないからこんなことになったのかな」とか自分なりに話をするようにツッコミを入れてみましょう。

これを突っ込むように話をすると言いますが、これをするだけで読書をより一層楽しめると思います。

 

たとえの表現を探す

読書感想文を書く時に、あらすじを書こうとするお子さんがいます。

あらすじと感想とはまた違うのできちんと分けないといけません。

芥川龍之介の作品は、細やかな表現に目をつけて感想文を書くと良いでしょう。

蜘蛛の糸では「たとえ」の表現が面白いと思います。

例えば、蓮の葉は翡翠(ひすい)のような色をしたと書いてあります。

翡翠というのは緑色の宝石のことです。

とても綺麗な色の葉なんだというのがわかると思います。

このように「〜のような」で何かに例えて表現する方法を比喩と言います。

「まるで死にかかったカエルのように」というのも比喩です。

比喩を探しながら、読んで気づいたところをたくさん抜き書きして、この作品はこうした表現が面白いと感想を書いても、楽しい読書感想文になるかもしれません。

 

蜘蛛の糸は何歳から?

 

蜘蛛の糸は、中学1年生の教科書にも未だに採用されているとても有名な作品です。

中学生の教科書に採用されていると言っても、文章的にはそれほど難しくないので、小学生向けの文庫本で振り仮名が振ってあれば、小学校中学年、10歳ぐらいでも読めると思います。

 

蜘蛛の糸は小学生向けの文庫本がおすすめ

 

くもの糸・杜子春 芥川龍之介作品集 (角川つばさ文庫)


小学生向けの文庫本には、角川つばさ文庫、講談社の青い鳥文庫などがあり、以下のような特徴があります。

 

  1. 簡潔な言葉遣い: 小学生が理解しやすいように、難しい言葉や表現が避けられています。
  2. イラスト付き: 物語の内容を視覚的に理解しやすくするために、挿絵が含まれていることが多いです。
  3. 解説や注釈: 物語の背景やテーマについての解説が付いていることがあり、子どもたちがより深く理解できるようになっています。
  4. 読みやすいフォーマット: フォントサイズや行間が工夫されており、読みやすさが考慮されています。

また、蜘蛛の糸の小学生向けの文庫本には、「杜子春」も収録されています。

杜子春は、主人公の杜子春が経験する不思議な冒険を描いた短編小説です。

小学生にぜひ読んでほしいと芥川作品からピックアップされた名作なので、蜘蛛の糸だけでなくぜひ合わせて読んでみてください。

 

蜘蛛の糸まとめ

 

くもの糸・杜子春(新装版)-芥川龍之介短編集- (講談社青い鳥文庫)

蜘蛛の糸を通して著者が伝えたかったことは何でしょうか?

それは、どんなに切羽詰まった状況だとしても、自分だけが助かろうとすると最終的に自分が不幸になってしまうということ。

つまり、自分だけの利益を求めてはだめだということですね。

自分の欲望のせいで大きなチャンスを水の泡にしてしまうこともあります。

大事なのは、常日頃から与えられた恵みに感謝して、他人を思いやる気持ちを持つことが大切だということです。

素晴らしい本なので、機会があれば是非読んでみてください。

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