小学校中学年におすすめ 夏目漱石の「坊ちゃん」で作者が伝えたかったこととは
Last Updated on 2024年10月26日 by toshi

坊ちゃんとは
『坊ちゃん』は夏目漱石の小説で、1906年に発表されました。この作品は、日本の明治時代を背景に、若者の成長と教育の現実を描いています。
作者は夏目漱石さんで、現在の東京生まれの小説家です。
教師を務めイギリスに留学、帰国後に小説家としてデビューし、「吾輩は猫である」や「草枕」など多くの作品を残しました。
坊ちゃんのあだ名の由来
「坊ちゃん」という名前は、主人公が若くて無邪気な性格を持っていることから来ています。
「坊ちゃん」は「小さな男の子」という意味で、彼の純粋さや正義感を象徴しています。このあだ名は、彼の性格や行動を反映していて、周囲の人々から親しみを込めて呼ばれています。
坊ちゃん実話
坊ちゃんの物語には、実際に夏目漱石が教員として働いていた経験が反映されています。彼もまた、教員としての生活の中での苦労や葛藤を経験しました。
物語の中で描かれる教育の現実や人間関係の難しさは、彼の実体験から来ていると考えられています。
このように『坊ちゃん』は、夏目漱石自身の経験をもとにした物語であり、若者の成長や教育の問題を考える上での貴重な作品です。
坊ちゃんの時代背景
『坊ちゃん』は明治時代に書かれた作品で、日本は西洋文化の影響を受けながら、急速に近代化が進んでいました。
この時代、教育制度も改革され、多くの人々が新しい価値観や考え方と向き合っていました。
坊ちゃんは、そんな社会の中での若者の葛藤や成長、教育の矛盾、人間関係の難しさや自己の確立などが描かれています。
登場人物
坊ちゃん: 主人公。正義感が強く、単純でまっすぐな性格。
赤シャツ: 同僚の教師。狡猾で、自分の利益を優先する人物。
野だいこ: 坊ちゃんの友人で、彼を支える存在。
マドンナ: 学校の女子生徒で、坊ちゃんが惹かれる存在。
教頭: 学校の権威ある立場にいる人物で、坊ちゃんに対して冷たい態度。
坊っちゃんあらすじ(ネタバレ含む)
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子供の頃、両親にも姉にも相手にされなかった、坊ちゃん。
でも、お手伝いさんの清だけは可愛がってくれました。
坊ちゃんの由来は、清が彼を呼ぶ時の呼び名です。
彼は父の死後、東京から故郷の松山の中学校に数学教師として赴任してきた坊ちゃんでしたが、坊ちゃんを気に入らない教師や生徒がいたずらを仕掛けてきて邪魔をします。
ただ、持ち前の向こうみずで正義感が強い性格なので、新米教師でありながらも日々奮闘していきます。
坊ちゃんは、学校でのさまざまな出来事や、同僚の「赤シャツ」との対立を通じて、教育の矛盾や人間関係の複雑さを学んでいきます。
最終的には、彼は自分の信念を貫くために権力者に立ち向かいますが、敗れてしまい学校を去る決断をします。
東京に戻った後は、再び清のもとに戻ることで余生は穏やかに過ごしています。
この物語は、彼が成長し、自分の道を見つける過程を描いています。
坊っちゃんの対象年齢は?
坊ちゃんの対象年齢は、10歳~中学年ぐらいなら問題なく読めると思います。
坊ちゃんの音読
小学校にもよりますが、授業で坊ちゃんを音読するところもあるそうです。
もちろん、1日ではとても終わらないので、少しずつ 1ヶ月ぐらいかけて終わらせます。
音読をすることは、実はいろいろメリットがあります、しかも坊ちゃんのような古典文学ならなおさらです。
では、なぜ音読が良いのでしょう。
音読は、あらすじがつかめるだけではなく、その本に出会った言葉や本の中の風景を一つずつ覚えていくことができます。
より深く読書を楽しめるので、是非坊ちゃんの音読にチャレンジしてみてください。
坊っちゃんは、読み進めていくと様々なことが次々に起こるので、読みながら何度も笑えてとにかく楽しむことができます。
少し長い作品ではあるけど、小学生でも大人と一緒に音読で読破できる内容だと思います。
坊ちゃんの文章から学べること
最初のつかみの書き方が秀逸
夏目漱石といえば最初のつかみの書き方が上手です。
例えば、彼の作品の「吾輩は猫である」のつかみの部分は、「吾輩は猫である名前はまだない」です。
そして坊ちゃんの最初の一文は、
親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。
ですが、吾輩は猫のように主語はないですよね?
ただ、坊ちゃんが主人公であるということは容易に想像できます。
また、無鉄砲というのは後先を考えずに行動することを言いますが、この主人公は無鉄砲であることも分かります。
親譲りは、親から譲り受けたので、親も同じような性格なのでしょう。
ただ、こういった無鉄砲な主人公が物語を作っていくのだということが分かります。
語彙力がつく
日本古来の言葉を味わうことができる夏目漱石さんの作品は、語彙がとても豊富です。
語彙が豊富ということは、つまり色々な言葉が使われているということです。
例えば、
坊ちゃんが2階から飛び降りた理由が、なぜそんなむやみなことをしたと聞く人もいるかもしれないですが、 別段深い理由もなく、ただ同級生の一人が冗談に弱虫とからかったからです
が、ここで出てくる「むやみ」というのは、無鉄砲と同じで、後先や良し悪しを考えずに行動することです。
「むやみ」という言葉も、今はそれほど使われないので、少し古い言葉かもしれません。
ただ、こうした古い言葉にふれる機会になるからこそ、読書は面白いのだと思います。
文庫のおすすめ
坊ちゃんは、夏目漱石の作品の中でも特に人気があります。文庫版は多くの出版社から出ており、特に以下の出版社のものがおすすめです。
- 角川文庫: 解説が充実しており、読みやすい。
- 新潮文庫: 作品の背景やテーマについての情報が豊富。
- 小学館ジュニア文庫:小学生向けで読みやすさや解説が丁寧。
- 青い鳥文庫:小学生向けで読みやすさや解説が丁寧。
「坊ちゃん」の青い鳥文庫版は、特に小学生におすすめ
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「坊ちゃん」の青い鳥文庫版は、特に小学生向けにアレンジされたバージョンです。この版は、内容が分かりやすく、挿絵も豊富で、読者が楽しみながら読み進められるようになっています。
特徴
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やさしい言葉遣い: 難しい表現や言葉が少なく、子どもたちにも理解しやすい内容になっています。
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挿絵: カラフルで魅力的な挿絵が多く、物語の世界に引き込まれやすいです。
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解説や注釈: 作品の背景や登場人物についての簡単な解説がついていることが多く、読後の理解を深める手助けになります。
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教育的要素: 友情や正義感、成長といったテーマがしっかりと描かれており、読者に考えさせる内容になっています。
おすすめする理由
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- 初めての古典: 子どもたちが古典文学に親しむ良いきっかけになります。
- 感情の理解: 主人公の成長や苦悩を通して、共感や理解を深めることができます。
- 楽しみながら学べる: 読書を通じて、歴史や文化についても興味を持つきっかけになります。
坊ちゃんまとめ
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『坊ちゃん』は、教育の矛盾、成長、友情、正義感といったテーマが描かれた青春小説として、現在でも多くの読者に愛されています。
その坊ちゃんを通じて、作者、夏目漱石が伝えたかったことは、様々な価値観の変化があっても愛情は不変だということです。
子供の頃両親にも姉にも相手にされなかった、坊ちゃん。
そんな坊ちゃんに清だけが愛情を持って接してくれます。
清と暮らす最後が描かれることで、主人公は権力者に負けたものの、その後は幸せな生活を送ることができました。
坊ちゃんを読む際は、ぜひ清との関係にも注目して読んでくださいね。